コラム

頚椎手術 ~明日のために~

掲載日 : 2025/08/25

働き盛り世代に増える頚椎疾患と手術治療
~脊椎手術専門病院からのメッセージ~

 はじめに
「デスクワークで首や肩がつらい」「手にしびれが出て集中できない」「スポーツで首を痛めてしまった」――。
かつては高齢者に多いとされていた頚椎疾患ですが、近年では30代~50代の働き盛り世代にも見られるようになっています。背景には、長時間のパソコン作業やスマートフォンの利用、姿勢の崩れ、スポーツや筋トレによる負担などがあります。
ここでは、若年層・働き世代の方に多い頚椎疾患と、その手術の選択肢について概要をまとめます。

 若い世代に多い頚椎疾患
30〜50代の方に比較的みられる疾患には以下のものがあります。
  •頚椎椎間板ヘルニア
椎間板が突出して神経や脊髄を圧迫し、手や腕のしびれ、首の痛みを伴うことがあります。
  •頚椎症性神経根症
骨や靭帯の変化により神経根が圧迫され、肩から腕にかけての放散痛が出る場合があります。
  •スポーツや事故による頚椎損傷
外傷により急性症状を起こすケースもあります。
働き盛りの世代にとって、こうした症状は仕事や日常生活に影響するため、症状の程度によっては保存療法(薬、リハビリなど)に加えて手術が検討される場合もあります。

 頚椎手術に対する不安
現役世代の患者さんからは、次のような不安がよく聞かれます。
  •仕事に復帰できるのか
  •首の動きがどの程度保たれるのか
  •スポーツや趣味を続けられるのか
  •入院や療養がどのくらい必要か
特に「職場復帰の時期」は重要な関心事の一つです。

 最近の頚椎手術の選択肢
手術法は症状や病状に応じて選択されます。代表的な方法には以下のものがあります。
1.内視鏡下手術
数ミリ程度のカメラを用いて行う方法で、皮膚切開が比較的小さく済むのが特徴です。
2.人工椎間板置換術
突出した椎間板を人工椎間板に置き換え、首の可動性を残しながら圧迫を取り除く方法です。欧米では広く行われており、日本でも導入されています。
3.前方除圧固定術
長く行われてきた手術法で、神経の圧迫を取り除き、人工骨やチタンケージで椎体を安定させる方法です。
※どの治療法が適しているかは、症状の程度、年齢、生活スタイル、全身状態などを踏まえ、医師と相談のうえで決定されます。

 術後の回復とリハビリ
手術後は、首や肩の筋肉を安定させ、姿勢を整えるためのリハビリが行われます。回復のスピードは手術方法や個人差によって異なります。

 病院を選ぶ際のポイント
頚椎手術を検討する際には、次の点が参考になります。
  •脊椎疾患の診療経験や手術実績があるか
  •内視鏡や人工椎間板など、複数の治療法に対応できるか
  •リハビリを含めた術後フォローが整っているか
  •生活や仕事に合わせた相談ができる環境か
治療法を選ぶときには、単に手術だけでなく、その後の生活も見据えて医師と相談することが大切です。

 まとめ
頚椎疾患は高齢者だけでなく、30代~50代の働き盛り世代にも増えています。
首や肩の痛み、手のしびれが続く場合は、我慢せず整形外科や脊椎を専門とする医師に相談しましょう。
正しい情報を知り、医師と一緒に自分に合った治療法を検討することが、仕事や生活を守る第一歩となります。