腰部脊柱管狭窄症について
掲載日 : 2025/12/02
腰部脊柱管狭窄症について
腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)は、腰の神経の通り道である「脊柱管」が狭くなり、神経が圧迫されることで腰や脚の痛み・しびれ・歩行障害を引き起こす疾患です。
中高年以降に多く見られ、加齢や椎間板の変性、靭帯の肥厚などが主な原因です。
■ 腰部脊柱管狭窄症の主な症状
- 歩いていると足がしびれて立ち止まりたくなる(間欠性跛行)
- 腰やお尻、太もも、ふくらはぎにかけての痛みやしびれ
- 前かがみになると楽になる
- 立っていると足がだるい・感覚が鈍い
- 症状が進行すると排尿・排便障害を伴うことも
このような症状がみられる場合、早期に脊椎外科専門医による診察を受けることが大切です。
■ 原因と病態
脊柱管は、脊髄や神経根が通るトンネルのような構造をしています。
加齢により椎間板が膨らんだり、椎間関節や靭帯が肥厚したりすると、その通り道が狭くなり、神経を圧迫します。
特に、
- 椎間板変性(クッションの低下)
- 黄色靭帯の肥厚
- 椎間関節の変形
が組み合わさって起こることが多く、長年の負担の蓄積が主な要因とされています。
■ 診断方法
品川志匠会病院では、MRI検査やCT検査によって神経の圧迫部位や狭窄の程度を正確に把握します。
また、歩行状態や感覚異常、筋力低下などの神経学的検査も行い、総合的に診断を行います。
■ 治療法
- 保存療法(まずは手術以外の治療)
初期や軽症の場合は、以下の対症療法である保存的治療を行います。
- 薬物療法(消炎鎮痛薬・神経痛改善薬)
- 神経ブロック注射
- 理学療法(リハビリテーション)
- コルセットなどの補助具
これらで改善がみられない場合、または歩行距離が極端に短くなる排尿・排便障害、など生活に支障をきたす場合は、手術が検討されます。
■ 手術治療について
腰部脊柱管狭窄症の手術は、圧迫された神経を開放(除圧)することが目的です。
品川志匠会病院では、患者さまの状態に応じて以下の手術法を選択します。
- 椎弓切除術
神経の通り道を覆う骨(椎弓)を一部取り除き、脊柱管を広げる方法です。
最も基本的で確実な除圧術です。
- 椎弓形成術
骨を削らずに開き、再び閉じることで脊柱管を広げる手術です。安定性を保ちながら広範囲の除圧が可能です。
- 除圧固定術
骨のぐらつき(不安定性)がある場合、スクリューやロッドを用いて固定を行います。
脊柱の安定を確保することで再狭窄を防ぎます。
- 低侵襲手術
品川志匠会病院では、顕微鏡や内視鏡を用いた低侵襲手術にも対応しています。
筋肉への負担が少なく、出血が少ないため、術後の回復が早く入院期間も短縮できます。
■ 手術後の経過
多くの患者さまで、手術後に歩行距離が伸び、足のしびれや痛みが軽減します。
術後は理学療法士によるリハビリテーションを行い、筋力回復と再発予防を目指します。
■ 品川志匠会病院の特徴
- 日本脊椎脊髄病学会認定指導医による専門的手術
- ナビゲーションシステム・顕微鏡下手術などの最新設備
- 年間多数の脊椎手術実績
- チーム医療による安全な周術期管理
患者さま一人ひとりの症状に合わせて、最も適した治療法を丁寧にご提案いたします。
■ まとめ
腰部脊柱管狭窄症は、進行すると歩行障害や生活の質の低下を招くことがあります。
しかし、早期診断と適切な治療により、症状の改善や再発防止が十分に期待できる疾患です。
しびれや歩行時の痛みが続く場合は、早めに専門医へご相談ください。
