首(頚)が痛い 其の3
掲載日 : 2025/08/15
脊椎手術病院が解説する原因・治療・予防法
「朝起きたら首が回らない」「デスクワークの後に首から肩が重だるい」…
首(頚)の痛みは、多くの方が経験する症状のひとつです。
一時的な筋肉疲労の場合もありますが、中には頚椎の変化や神経の圧迫が背景にある場合も報告されています。
症状が長引く、しびれや力の入りにくさを伴うなどの場合は、医師による診察が勧められます。
◆首(頚)の痛みの主な原因
首の痛みにはさまざまな原因があります。一般的に整形外科や脊椎専門の外来でよく診られる代表的なものには以下があります。
•頚椎症:加齢や長年の負担により椎間板や骨が変化し、神経や脊髄に影響を及ぼすことがあります。
•頚椎椎間板ヘルニア:椎間板の一部が飛び出し、神経を圧迫することがあります。
•ストレートネック:本来の頚椎のカーブが減少し、首の筋肉に負担がかかりやすい状態です。
•むち打ち症:交通事故やスポーツ外傷により、靱帯や筋肉が損傷した状態。
•後縦靭帯骨化症(OPLL):靱帯が硬く変化し、脊髄に圧迫が生じる病気。進行性のため注意が必要とされています。
•外傷性骨折(転倒や事故による強い衝撃)
•リウマチなどによる骨の変化
•その他:筋肉疲労、眼精疲労、ストレスなど
◆首の痛みに伴いやすい症状
首の痛みは単独で出ることもありますが、次のような症状が同時にみられる場合もあります。
•肩こりや背中の張り
•手や指のしびれ
•握力の低下
•歩行時のふらつき
•頭痛・めまい・吐き気
これらが続く場合、単なる筋肉疲労ではなく神経に関わる症状の可能性もあるため、専門的な診察が推奨されます。
◆診断方法
医療機関では、症状の聞き取りや身体診察のほか、必要に応じて以下の検査が行われます。
•X線(レントゲン)検査:骨の形や配列の確認
•MRI検査:椎間板や神経の状態を詳しく確認
•CT検査:骨の詳細な評価
•神経伝導検査:しびれの原因部位を区別するための検査
◆保存療法(手術以外の治療)
症状が比較的軽度の場合は、まず保存的な治療が選択されることが多いです。
•鎮痛薬・消炎鎮痛薬
•筋弛緩薬の使用
•神経ブロック注射(痛みのある部位を一時的に和らげる目的)
•理学療法(温熱療法、牽引、ストレッチなど)
•姿勢指導や生活環境の調整(デスクや椅子の見直しなど)
◆手術療法が検討される場合
次のようなケースでは、手術が治療の選択肢のひとつとして検討されることがあります。
•保存療法を一定期間行っても改善がみられない場合
•しびれや筋力低下が進行している場合
•歩行障害が生じている場合
•画像検査で明らかな脊髄圧迫が確認された場合
◆代表的な手術方法(例)
脊椎外科領域で一般的に行われている頚椎手術には、以下のような方法があります。
•頚椎椎弓形成術
•前方除圧固定術
•人工椎間板置換術
•頚椎後方固定術
•内視鏡手術
•頚椎後方椎間孔除圧術
(それぞれの方法にはメリット・デメリットがあり、病状や年齢・生活状況によって適応が異なります。)
◆手術後のリハビリと予防の工夫
手術後には、医師やリハビリスタッフの指導のもと、以下のような取り組みが行われることがあります。
•首や肩の可動域訓練
•筋力維持・強化トレーニング
•日常生活での正しい姿勢の指導
再発予防のために日常で工夫できる点としては、
1.スマホは目の高さに近い位置で使用する
2.長時間同じ姿勢を避け、1時間に一度は休憩をとる
3.軽い運動やストレッチを習慣にする
4.枕の高さを適切に調整する
といった生活習慣の見直しが挙げられます。
◆まとめ
首(頚)の痛みは、生活の質に大きな影響を及ぼすことがあります。
軽い症状でも長引く場合や、しびれ・筋力低下・歩行の不安定さなどを伴う場合は、早めに医療機関を受診して原因を確認することが大切です。
脊椎外科や整形外科では、検査や治療の選択肢を相談することができます。
