圧迫骨折 脊椎専門病院へ
掲載日 : 2025/08/19
~放置せず脊椎手術専門病院での早期の診察をおすすめします~
圧迫骨折とは? ― 高齢者に多い背骨の骨折について ―
圧迫骨折(あっぱくこっせつ)は、背骨(椎体)が押しつぶされるように変形する骨折のことを指します。特に高齢の方に多く、その背景には骨粗しょう症が関与していることが少なくありません。転倒や尻もちが原因となる場合もあれば、くしゃみや軽い荷物を持ち上げただけで起こる「いつのまにか骨折」もあります。
圧迫骨折の主な原因
1.骨粗しょう症
骨の密度が低下し、もろくなった状態で背骨に力がかかると骨折することがあります。特に閉経後の女性はリスクが高まります。
2.転倒や外傷
高齢者の転倒は骨折の大きな要因です。若い世代でも交通事故や高所からの転落などで発生することがあります。
3.日常の動作
骨粗しょう症が進んでいる場合、立ち上がる・前かがみになるといった軽い動作でも骨折が起こることがあります。
圧迫骨折で見られる症状
•突然の腰や背中の痛み
•動作時に痛みが強くなり、安静時にやや軽減することがある
•身長の低下や猫背の進行
•慢性的な腰背部の鈍痛
•複数回起こる「ドミノ骨折」
中には痛みが少なく、画像検査をして初めて骨折が判明するケースもあります。
圧迫骨折の診断
医療機関では、以下のような検査を組み合わせて診断を行います。
•レントゲン:骨の変形の有無を確認
•MRI:新しい骨折かどうかを判断
•CT:骨の形や安定性を評価
特に「いつのまにか骨折」の有無を調べる際にはMRIが有用とされています。
圧迫骨折の治療方法
1.保存療法
•コルセットによる固定
•痛み止めなどの薬物療法
•骨粗しょう症に対する治療薬の使用
•リハビリテーション
まず保存療法が行われることが多いですが、回復までに時間を要することがあり、骨の変形や慢性的な痛みが残る場合もあります。
2.手術療法(低侵襲手術)
保存療法で十分な改善が得られない場合や、骨の変形が進行している場合には手術が検討されることがあります。
代表的な方法の一つに BKP(バルーン椎体形成術) があります。
•潰れた椎体にバルーンを入れて形を整え、骨セメントを充填して安定させる方法
•高齢の方にも選択肢となり得る低侵襲手術のひとつ
※治療の選択は、年齢や健康状態、骨折の程度などを踏まえ、医師と相談して決定します。
圧迫骨折を放置した場合に考えられること
•腰痛が長引く
•姿勢の悪化による呼吸や消化機能への影響
•運動不足から寝たきりのリスクが高まる
•新たな骨折(ドミノ骨折)が起こりやすくなる
圧迫骨折の再発予防・包括的な取り組み
圧迫骨折は一度で終わらず、繰り返すことが多いため、再骨折予防が大切です。
そのため医療機関では、
•骨折治療(保存療法・手術療法)
•骨粗しょう症に対する治療
•リハビリテーション
•生活習慣改善による再発予防
といった多面的な取り組みが行われることがあります。
圧迫骨折の予防方法
•定期的な骨密度検査
•骨粗しょう症治療薬の継続
•適度な運動(ウォーキング・筋力トレーニングなど)
•栄養バランス(カルシウム・ビタミンD・タンパク質の摂取)
•転倒を防ぐ住環境の整備
まとめ
圧迫骨折は高齢者に多い骨折ですが、早期に適切な診断と治療を受けることで、痛みの軽減や再骨折の予防につながる可能性があります。
腰や背中の痛み、身長の低下や姿勢の変化が気になる方は、整形外科や脊椎を専門とする医療機関への相談をおすすめします。