圧迫骨折 放置は危険?
掲載日 : 2025/08/22
放置は危険?”
圧迫骨折について正しい理解と診察のすすめ
「ただの腰痛」と思っていませんか?
高齢の方が「腰が痛い」と訴えたとき、年齢のせいと考えてしまうことは少なくありません。
しかし、その腰痛の一部は背骨の骨折、すなわち 圧迫骨折 が原因になっている可能性があります。
圧迫骨折は、背骨(椎体)が押しつぶされるように変形する骨折で、骨粗しょう症が進んでいる高齢者に多く見られます。中には「転んだ記憶がないのに骨折していた」という“いつのまにか骨折”もあり、本人も家族も気づかないまま放置されてしまうこともあります。
圧迫骨折を放置した場合に考えられること
圧迫骨折をそのままにしておくと、次のような変化が生じる可能性があります。
•背骨が潰れることによる姿勢の悪化(猫背)
•慢性的な腰痛による生活動作の制限
•姿勢の影響による呼吸機能や消化機能への負担
•複数回の骨折を繰り返す「ドミノ骨折」
•活動量の低下から寝たきりにつながる可能性
よくある誤解
1.「痛みが少ないから大丈夫」
圧迫骨折は痛みが軽い場合もありますが、その間に骨の変形が進むこともあります。
2.「安静にしていれば自然に治る」
軽度の骨折では安静や保存療法で改善を目指せますが、骨変形や再骨折を防ぐためには医師の管理が重要です。
3.「手術は避けたい」
手術はすべての方に必要なわけではありません。症状や骨の状態に応じて、BKP(バルーン椎体形成術) などの低侵襲手術が選択肢となる場合もあります。
圧迫骨折の治療の流れ
保存療法
•コルセットによる固定
•鎮痛薬や骨粗しょう症治療薬の処方
•リハビリテーション
手術療法
保存療法で十分な効果が得られない場合や、骨の変形が進んでいる場合には手術が検討されることがあります。
代表的な方法の一つが BKP(バルーン椎体形成術) です。
潰れた骨にバルーンを挿入して形を整え、骨セメントを充填することで安定化を図ります。
ほかにも、骨の状態によっては固定術などが検討される場合もあります。
治療法の選択は、患者さんの年齢・健康状態・骨折の程度などを踏まえ、医師と相談して決定することが大切です。
専門的な診療の特徴
圧迫骨折は整形外科で診断・治療が行われますが、脊椎を専門とする医療機関では、
•MRIやCTを含む画像検査による診断
•保存療法から手術療法まで幅広い治療の提示
•骨粗しょう症治療と再骨折予防の取り組み
•リハビリ体制による生活機能の回復支援
といった診療が行われる場合があります。
ご家族に気づいてほしいサイン
圧迫骨折は本人が「大したことない」と感じてしまうこともあります。ご家族が次のような変化に気づくことが早期発見につながります。
•背中が急に曲がった
•身長が縮んできた
•転倒後から歩き方がおかしい
•腰痛で寝込む時間が増えた
まとめ:早期発見・早期対応が重要
圧迫骨折は、早期に発見し適切な治療を受けることで、痛みや生活の制限を軽減し、再骨折の予防につなげることができます。
「腰痛が続いている」「背中の形が変わってきた」と感じるときには、早めに整形外科や脊椎専門の医療機関で相談することをおすすめします。