コラム

最新の頚椎手術 その1

掲載日 : 2025/08/25

~脊椎手術専門病院からの解説~
 
 はじめに
「首の痛みやしびれが治らない」「手の感覚が鈍くなってきた」「歩行が不安定になってきた」――こうした症状が続くと、頚椎の病気が関係している可能性があります。近年は高齢化やデスクワーク、スマートフォンの長時間利用などにより、頚椎疾患による手術が必要となる患者さんが増えてきています。
この記事では、最新の頚椎手術について、手術の種類・適応・術後の経過・当院の取り組みを詳しく解説します。頚椎手術に関心を持つ患者さんやご家族の参考になるようご紹介します。

 頚椎疾患と手術が必要になるケース
頚椎は7つの椎骨から成り立ち、頭を支える大切な役割を担っています。しかし加齢や生活習慣により、椎間板や靭帯、関節の変化が起こり、神経や脊髄を圧迫することがあります。
代表的な疾患は以下の通りです。
  •頚椎椎間板ヘルニア:飛び出した椎間板が神経を圧迫
  •頚椎症性脊髄症:加齢変化による骨棘や靭帯肥厚が原因
  •後縦靭帯骨化症(OPLL):靭帯が骨化して脊髄を圧迫
  •頚椎後弯症・不安定症:姿勢変化や外傷による不安定性
これらの疾患は、**保存療法(薬・リハビリ・注射)**で改善しない場合や、麻痺・歩行障害が進行する場合に手術が必要となります。

 最新の頚椎手術の種類
頚椎手術は日々進化しており、より低侵襲(体への負担を少なく)で安全な方法が普及しています。ここでは代表的な手術を紹介します。
1.前方固定術
頚部の前方から椎間板を取り除き、神経の圧迫を解除する方法です。人工骨やプレートで固定し、椎体同士を癒合させます。
  •メリット:症状改善が早い、安定した成績
  •最新技術:チタンケージや吸収性プレートの導入により安全性向上
2.人工椎間板置換術
椎間板を人工椎間板に置き換えることで、可動性を保ちながら神経圧迫を解除します。
  •メリット:首の動きを残せる
  •適応:若年層や活動性が高い方
  •最新動向:欧米で主流、日本でも症例数が増加中
3.後方除圧術(椎弓形成術)
首の後ろから椎弓を広げ、脊髄を圧迫から解放する手術です。
  •メリット:広範囲の脊髄圧迫に有効
  •最新技術:顕微鏡やナビゲーションシステムを活用し、正確かつ低侵襲に実施
4.内視鏡下(顕微鏡下)頚椎手術
直径数ミリの内視鏡を使って行う最小侵襲手術。
  •メリット:出血や筋肉の損傷が少ない、回復が早い
  •最新動向:日帰りや短期入院も可能に

 最新技術の導入で変わる手術成績
脊椎手術専門病院では、最新の医療機器やナビゲーション技術を取り入れ、安全性と正確性を両立しています。
  •術中CTや3Dナビゲーション:インプラントの位置を正確に把握
  •顕微鏡・内視鏡の併用:神経や血管を守りながら精密な操作が可能
  •新しい素材を使ったインプラント
これにより、合併症リスクが減少し、早期の社会復帰が可能となっています。

 手術後の回復とリハビリ
頚椎手術の目的は「痛みの改善」だけでなく「生活の質(QOL)の向上」です。術後は以下の流れで回復を目指します。
1.早期離床:術後翌日から歩行可能な場合も
2.リハビリ:姿勢指導や頚部筋肉の強化
3.生活指導:スマホ・PC利用時の姿勢改善
4.復職・スポーツ復帰:数週間~数か月で可能なケースも
最新の手術法では、従来に比べて入院期間が短縮され、日常生活への復帰が早くなっています。

 脊椎手術専門病院を選ぶ理由
頚椎手術は繊細で高度な技術を必要とする分野です。そのため、脊椎手術の専門施設で受けることが安全・安心につながります。
当院の特徴:
  •年間多数の頚椎手術症例を実施
  •脊椎に適切なの手術機器・ナビゲーションを導入
  •脊椎外科専門医がチームで診療
  •術前から術後リハビリまで一貫したサポート

 まとめ
頚椎手術は「痛みやしびれを取り除く」だけでなく、「将来的な麻痺の進行を防ぎ、生活の質を守る」ための大切な治療です。
近年の医療技術の進歩により、より低侵襲で安全性の高い手術が可能になりました。頚椎の症状でお悩みの方は、まずは脊椎手術専門へご相談ください。
あなたの症状に最も適した治療法をご提案し、安心して手術・リハビリに臨めるようサポートします。