コラム

頚椎後縦靭帯骨化症(OPLL) その2

掲載日 : 2025/08/26

    治療は脊椎専門病院で〜品川志匠会病院の取り組み〜
 
 はじめに
「手のしびれが取れない」
「首の痛みが長く続いている」
「歩くとふらつくようになった」
こうした症状は、肩こりや加齢の影響と思われがちです。しかし、その背景に**後縦靭帯骨化症(OPLL)**という病気が隠れていることがあります。
後縦靭帯骨化症は、背骨の中を走る「靭帯」が骨のように硬くなり、脊髄や神経を圧迫する進行性の病気です。特に**頚椎(首の骨)**で起こりやすく、進行すると手足のしびれや歩行障害、排尿障害などが現れることがあります。

 後縦靭帯骨化症の原因とリスク
現在までに、以下のような要因との関連が報告されています。
  •加齢による変化
  •遺伝的要因
  •糖尿病や肥満などの生活習慣病
  •男性にやや多いとされるが女性でも発症
本疾患は厚生労働省により難病に指定されています。リスク因子を持つ方は、首の違和感を軽視せず、医療機関での相談や検査が推奨されます。

 診断にはMRI・CTが有効
一般的なレントゲン検査だけでは骨化の程度や神経圧迫の詳細を把握することが難しい場合があります。
MRIやCTといった精密検査を行うことで、後縦靭帯骨化症の有無や進行の状態を評価することが可能です。

 治療の考え方
後縦靭帯骨化症の治療には、大きく分けて保存療法と手術療法があります。
 保存療法
  •薬物治療
  •リハビリテーション
  •生活習慣の見直し
症状が軽い場合や、進行が緩やかな場合には経過観察や保存療法を行うこともあります。
 手術療法
神経の圧迫が強く、しびれや歩行障害が進行している場合、手術が検討されることがあります。代表的な方法には次のようなものがあります。
  •前方除圧固定術:骨化部分を取り除き、骨の安定を図る方法
  •後方除圧術(椎弓形成術など):脊髄の通り道を広げる方法
  •前方・後方併用術:症例に応じて組み合わせる場合もあります
どの手術法が適しているかは、症状・画像所見・既往歴などを総合的に判断して決定されます。

 品川志匠会病院での取り組み
当院は脊椎疾患に特化した専門病院として、以下のような体制で診療を行っています。
  •脊椎外科を専門とする医師が在籍
  •ナビゲーションシステムや手術用顕微鏡を用いた治療
  •術前検査から術後リハビリまで一貫したサポート体制
※「年間手術件数」等の実績については、公的資料(例:朝日新聞出版『いい病院』など)をご参照ください。

 まとめ
  •首のしびれや違和感が長引く場合、後縦靭帯骨化症(OPLL)の可能性があります。
  •MRI・CTなどの精密検査が診断に有効です。
  •治療は保存療法と手術療法があり、症状や病状に応じて選択されます。
  •脊椎を専門とする医師がいる医療機関で相談することが安心につながります。

首や手足のしびれ、歩きにくさなどの症状がある方は、「年齢のせい」と思い込まず、まずは整形外科や脊椎専門の医師にご相談ください。