腰椎椎間板ヘルニア その2
掲載日 : 2025/10/06
腰椎椎間板ヘルニア 2025年現在の治療
― 品川志匠会病院 脊椎手術専門より ―
はじめに
腰椎椎間板ヘルニアは、腰痛や坐骨神経痛、下肢のしびれや筋力低下を引き起こす代表的な疾患です。若年層から中高年まで幅広く発症し、放置すると日常生活や仕事に大きな支障を及ぼします。
品川志匠会病院では、保存療法から低侵襲手術まで、最新の治療法を症状や生活スタイルに応じて提案しています。
診断と初期評価
- 問診・神経学的診察:痛みの範囲・しびれ・筋力低下の有無を確認
- MRI検査:神経根や馬尾神経の圧迫を可視化
- CT・レントゲン検査:椎間板周囲の骨の状態やぐらつきを確認
的確な診断が、治療方針決定の第一歩です。
保存療法(まずは腰に負担をかけない治療から)
軽症例や神経障害が進行していない場合には、以下の保存療法を行います。
- 薬物療法(消炎鎮痛薬・神経痛治療薬)
- 理学療法(ストレッチ・体幹筋トレーニングてん腰痛体操など)
- ブロック注射(神経根ブロック・硬膜外ブロック)
3か月程度で改善が見られることも多く、まずは保存療法が基本となります。
手術が必要となるケース
以下の場合は手術を検討します。
- 保存療法を続けても強い坐骨神経痛が改善しない
- 下肢の筋力低下やしびれが進行する
- 排尿・排便障害を伴う馬尾症候群
主な手術法(2025年現在の標準と最新治療)
- 内視鏡下椎間板摘出術(PELD、MED)
小さな切開で内視鏡を挿入し椎間板ヘルニアを除去。体への負担が少なく、早期回復が可能。視野が限られるので、熟練の技術を要します。 - 顕微鏡下椎間板摘出術(MD)
顕微鏡を使って直視下では見にくい神経の圧迫を除去します。 - 固定術(TLIF、PLIF、など)
椎間板変性が大きい場合や不安定性を伴う場合に実施。スクリューとケージで安定性を確保。 - ヘルニア摘出術固定術
飛び出している椎間板(ヘルニア)を直視下にて切除摘出する - 椎間板内酵素注入療法(ヘルニコア)
ヘルニアによって飛び出した椎間板(髄核)の保水成分を分解し、髄核の水分による膨らみを和らげることで、神経への圧迫が軽減され、痛みやしびれが改善されることが期待できます。
など
再生医療・新しい治療の展望
PRP(多血小板血漿)や幹細胞治療などが研究段階で進んでいますが、腰椎椎間板ヘルニアの標準治療として確立しているわけではありませんが今後の学会での成果を注視しています。
当院では最新の情報を常に収集しておりますが、再生医療の臨床治療は行っておりません。
FAQ(よくあるご質問)
Q1. 腰椎椎間板ヘルニアは自然に治りますか?
A. 軽度のものは数か月で自然吸収される例があります。ただし排尿・排便障害や筋力低下が著しいなどの症状が悪化する場合は早めの受診が必要です。
Q2. 手術後に再発することはありますか?
A. 椎間板ヘルニアは再発する可能性があります。生活習慣や腰部の使い方でリスクを減らすことが可能です。
Q3. 保存療法はどのくらい続けるのが良いですか?
A. 一般的に3か月が目安とされていますが、神経障害が強い場合や痛みが強く保存療法で日常生活に大きく支障をきた場合には早期手術を検討します。
Q4. 品川志匠会病院ではどのような治療を受けられますか?
A. 内視鏡下・顕微鏡下の低侵襲手術から固定術まで幅広く対応し、患者様の症状と希望に合わせて提案します。
品川志匠会病院からのメッセージ
腰椎椎間板ヘルニアの治療は、症状や生活背景に応じて最適な方法が異なります。保存療法で改善する例もあれば、早期の手術が望ましい場合もあります。
当院では、適切な画像診断と豊富な脊椎手術経験をもつ専門医が、一人ひとりに適した治療をご案内いたします。
免責事項
本ページは一般的な医療情報の提供を目的としています。最適な治療法は個々の状態によって異なります。必ず専門医の診察を受けてください。