コラム

腰部脊柱管狭窄症について

掲載日 : 2025/12/02

腰部脊柱管狭窄症について

腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)は、腰の神経の通り道である「脊柱管」が狭くなり、神経が圧迫されることで腰や脚の痛み・しびれ・歩行障害を引き起こす疾患です。
中高年以降に多く見られ、加齢や椎間板の変性、靭帯の肥厚などが主な原因です。

腰部脊柱管狭窄症の主な症状

  • 歩いていると足がしびれて立ち止まりたくなる(間欠性跛行
  • 腰やお尻、太もも、ふくらはぎにかけての痛みやしびれ
  • 前かがみになると楽になる
  • 立っていると足がだるい・感覚が鈍い
  • 症状が進行すると排尿・排便障害を伴うことも

このような症状がみられる場合、早期に脊椎外科専門医による診察を受けることが大切です。

原因と病態

脊柱管は、脊髄や神経根が通るトンネルのような構造をしています。
加齢により椎間板が膨らんだり、椎間関節や靭帯が肥厚したりすると、その通り道が狭くなり、神経を圧迫します。

特に、

  • 椎間板変性(クッションの低下)
  • 黄色靭帯の肥厚
  • 椎間関節の変形
    が組み合わさって起こることが多く、長年の負担の蓄積が主な要因とされています。

診断方法

品川志匠会病院では、MRI検査CT検査によって神経の圧迫部位や狭窄の程度を正確に把握します。
また、歩行状態や感覚異常、筋力低下などの神経学的検査も行い、総合的に診断を行います。

治療法

  • 保存療法(まずは手術以外の治療)

初期や軽症の場合は、以下の対症療法である保存的治療を行います。

  • 薬物療法(消炎鎮痛薬・神経痛改善薬)
  • 神経ブロック注射
  • 理学療法(リハビリテーション)
  • コルセットなどの補助具

これらで改善がみられない場合、または歩行距離が極端に短くなる排尿・排便障害、など生活に支障をきたす場合は、手術が検討されます。

手術治療について

腰部脊柱管狭窄症の手術は、圧迫された神経を開放(除圧)することが目的です。
品川志匠会病院では、患者さまの状態に応じて以下の手術法を選択します。

  • 椎弓切除術

神経の通り道を覆う骨(椎弓)を一部取り除き、脊柱管を広げる方法です。
最も基本的で確実な除圧術です。

  • 椎弓形成術

骨を削らずに開き、再び閉じることで脊柱管を広げる手術です。安定性を保ちながら広範囲の除圧が可能です。

  • 除圧固定術

骨のぐらつき(不安定性)がある場合、スクリューやロッドを用いて固定を行います。
脊柱の安定を確保することで再狭窄を防ぎます。

  • 低侵襲手術

品川志匠会病院では、顕微鏡や内視鏡を用いた低侵襲手術にも対応しています。
筋肉への負担が少なく、出血が少ないため、術後の回復が早く入院期間も短縮できます。

手術後の経過

多くの患者さまで、手術後に歩行距離が伸び、足のしびれや痛みが軽減します。
術後は理学療法士によるリハビリテーションを行い、筋力回復と再発予防を目指します。

品川志匠会病院の特徴

  • 日本脊椎脊髄病学会認定指導医による専門的手術
  • ナビゲーションシステム・顕微鏡下手術などの最新設備
  • 年間多数の脊椎手術実績
  • チーム医療による安全な周術期管理

患者さま一人ひとりの症状に合わせて、最も適した治療法を丁寧にご提案いたします。

まとめ

腰部脊柱管狭窄症は、進行すると歩行障害や生活の質の低下を招くことがあります。
しかし、早期診断と適切な治療により、症状の改善や再発防止が十分に期待できる疾患です。
しびれや歩行時の痛みが続く場合は、早めに専門医へご相談ください。